2006年08月06日

(-.-) ちょっと良いお話4 (-.-)

(-.-) ちょっと良いお話4 (-.-)

ちょっと良いお話ですぅ。

写真は、富士山の向こうから昇る朝日ですぅ。

朝の出来事

 ふと、目を覚ました。
 外はまだ薄暗い。
 なのに、目の前にとても明るい光を感じた。

 ゆっくりとした動作で目をこする。
 その光の向こうに誰かがいるような感じがした。

 「洋志・・・。」
 「えっ?」

 視界が次第にはっきりしていき、その声の主の全体像を把握した。
 彼女はやさしく微笑み、天井付近に浮かんでいた。
 僕はその時に恐怖を感じなかった。
 それどころか彼女の表情からどことなく懐かしさを感じた。
 しかし、彼女は誰なのかわからない。

 「き・・・君は・・・誰?」

 そういうと彼女『やっぱり…』というような表情でくすっと笑った。
 「やっぱり・・・覚えてないんだね・・・。無理もないよね・・・私達、小学生だったから・・・。 
  それに私・・・死んじゃってるし・・・。」
 「だから君は誰なんだ?」

 「私は桜谷 仁美。洋志君とは幼馴染みだよ。昔、よく一緒に遊んでいたよね?」
 『桜谷 仁美。幼馴染み。』その言葉で頭の中を無邪気な思い出が駆け抜けた。
 「あぁ。あの仁美ちゃんか。なつかしいな。死んだのに大きくなって
  よりいっそうかわいくなってるからわかんなかった。」

 なぜだろう?僕は平静を保っていられた。

 「洋志君もね。あの時はかわいかったけど今はかっこいいよ。」
 幽霊とはいえ、女の子から言われると赤くなってしまう。
 「いやぁ、それほどでも・・・。で、何でここに?」

 彼女の顔が見る見るうちに暗くなっていった。
 「私、見ての通り死んじゃったでしょ。こっちの世界ってすごく孤独で寂しいところなの。
  でね、小さい時から寂しいよって泣いていたらいつのまにか、洋志君の部屋にいたの。」
 『そうだったのか・・・。』心の中で僕はつぶやいた。
 「あの頃は私達、誰から見てもLove×2だったよね・・・。ねぇ、約束したよね?・・・
  将来結婚しようって・・・。ずっと私達いっしょにいようって。」
 「ああ。覚えている。」
 「でも私、病気で死んじゃって約束を破っちゃった。ごめん…。その罰なのかな? 
  とても寂しくて悲しいの・・・。洋志君、私どうしたらいいの?」

 僕は少し悩んだ。

 「ごめん…。僕にもどうしたらいいのか分からない。
  でも、悲しいのならいつでも僕に抱きついてきていいんだよ。ほら、あの頃のように・・・。」
 僕は彼女のほうに向かって静かに手を広げてあげた。

 「ひ・・・洋志君・・・。」彼女が抱きついてきた。
  きれいな涙を流して・・・。

 僕も彼女の悲しみを受け止めてあげるかのように、体をやさしく抱いた。
 彼女は死んでいるのに温かいぬくもりを感じた。
 「ごめんよ。君がそんなに悲しんでいたなんて・・・。苦しかっただろ?」
 「・・・うん。ありがとう・・・。洋志君、いつまでも私のこと忘れないで・・・。大好きだよ。」
 「僕も・・・ ・・・大好きだよ。」僕らは自然とキスを交わした。

 彼女の苦しさがなくなるのが伝わってきた。
 キスをし終えると、彼女は霧が晴れるかのように消えていった。

 「・・・ ・・・ ・・・!?」僕は飛び起きた。
 「夢か!?」いや、夢ではないことがすぐに分かった。
 彼女の姿、声や唇のぬくもりをまだ覚えている。

 自然と涙が頬を伝っていくのが感じられた。

 外を眺めながら、「今日は久しぶりに仁美ちゃんのお墓参りでも行くか。」と、つぶやいた。
 『ありがとう…。』
 「えっ?」後ろで誰かがつぶやいた。
 
 しかし振り返っても、誰もいなかった。




何か、胸が暖かくなったよぉ~。(-.-)


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Posted by たえちゃん at 00:28│Comments(2)ちょっと良いお話
この記事へのコメント
初めまして、私は桜谷仁美といいます。
自分の名前を検索していたら、出て来たんでビックリしてます。
戸籍には、櫻谷仁美と記載されていました。過去形です。
今は姓が変わっていますが、この文字を見るとどきっとします。
この名前は、このお話は実在の物ですか?
私は、小さい時にたくさんのお友達がいたと思います。
男の子ともよく遊びましたので、ひろしくんという子もいたかと思い返しましたが・・・

でも、私は病院で死んでないので、これは違う人のお話よね。
大して大事にもしてなくて、あまり好きでなかった名前、読みにくいし、よく聞き返されし、綺麗にまとまらないし、でも・・・いま、この文字を簡単に変えてしまって、ちょっと後悔してます。
Posted by 桜谷仁美 at 2007年02月01日 00:04
このページを時々みています。たえちゃんは、シングルマザーで32歳位なんですね。毎日とっても忙しく、大変でしょうが、一日があっという間に終わってしまうような充実感もあると思います。
この名前・・・なんでこのお話につけたか聞きたいんです。偶然でしょうか?それとも何かでみたとか、誰かから聞いたとか、是非教えてください。前にメルアド書いたんで、ここに返事頂けたら・・・
Posted by 桜谷仁美 at 2007年02月16日 02:24
 
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