2006年08月17日

(-.-) ちょっと良いお話9 (-.-)

(-.-) ちょっと良いお話9 (-.-)

ちょっと間が開いてしまったけれど、ちょっと良いお話ですぅ。

幸せになった霊


 「クリハラトシオ、ノロッテヤル」

 「うるさいなあ、いい加減にしてくんない。それに、僕の名は徳田公也っていうの、
  ト・ク・ダ・キ・ミ・ヤ。 まったく、言う相手が違うっつーんだよ」

 午前2時を回ると、その女の霊はきまって公也の前に出てきて言うのだった。

 公也は小さい頃から霊を見ることが出来たので、
  普通に話し掛ければ何の危険も無いということや、意外と素直であるということも知っていた。
 今住んでいる部屋も、
  「お化けが出るかもしれない」と言う大家の言葉に内心大喜びで契約したのだ。
 もちろん大幅な値引きをしてもらうのが目的だった。

 しかし、出て来た霊は以外にも若くて綺麗な女だったので、出て行ってもらうことはしなかった。
 話を聞くと、その霊は生前、この部屋で「クリハラトシオ」という男と同棲していたのだが、
  男は他の女と一緒になって出て行ってしまったのだそうだ。
 悲観した彼女は自殺した。
 よく聞く話である。
 しかし、男に強い未練があったため、いつか戻って来るのではと、
  想い出深いこの部屋に居付いたのだと言う。

 初めのうちは、若くて綺麗ということもあって、喜んで話し相手になっていたが、
  毎晩2時過ぎとなるとさすがにこたえた。
 次の日の仕事にも差し支える。
 しかも、出て来るたびに「クリハラトシオ、ノロッテヤル」と言い、話の最中でも、
  思い出したように「クリハラトシオ、ノロッテヤル」と言い出すのだ。

 公也は考えた末、あることを思いついた。
 このまま独りで出て行ってもらうのは可哀想なので、相手を見つけてやろうと思ったのだ。
 毎日いろいろな霊を見ているので、心当たりはあった。
 次の日、女が出て来たところで、若い男の霊を紹介した。
 この男もフィアンセだった女に逃げられて自殺してしまったという、
  内気だが、気のやさしい霊だった。

 女は最初、ぽかんと口を開けていたが、そのうち伏し目がちに男のほうを見るようになった。
 頬もほんのり赤くなっているように見える。
 一目惚れしたのだ。
 男の霊も満更でもない様子である。

 やがて、二人は手を取り合い、公也に何度も礼を言って成仏した。

 公也は満足と安堵の気持ちで布団に入った。
 「これで、明日からぐっすり眠れる」
 次の日、公也が寝ているとまた女が出て来た。

 「あれ、昨日の彼はどうしちゃったの。まさか、別れちゃったんじゃないだろうね」

 女が口を開いた。
 「幸せにしていただいた御礼に来ました」

 「ヨシダキミヤ、ノロケテヤル」




霊が見えると良いな!

でも、ちょっと怖いな。

でもね、会いたい人いるもん。。。(-.-)


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Posted by たえちゃん at 04:14│Comments(0)ちょっと良いお話
 
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