2006年08月21日

(-.-) ちょっと良いお話11 (-.-)

(-.-) ちょっと良いお話11 (-.-)

ちょっと良いお話ですぅ。

写真は、線香花火ですぅ。

花が咲いたようにきれいな線香花火ですが、消えていく時はとてもさみしいです。

ロールケーキ


 駅前のケーキ屋には小さな喫茶スペースがあり、ぼくたちはいつも窓側に座る。
 ぼくは2杯目のコーヒーを注文した。
 彼女はもう湯気の立っていないホットミルクと、
  くるくると「の」の字に巻かれたケーキを食べている。
 「恋愛はロールケーキね」突然彼女が言った。
 「いろんな思いが渦巻いているじゃない?」びっくりして彼女を見た。
 「何でもありだし。最近はプリンが丸ごと入っているものもあるんだって」
 生クリームがたっぷりのそれを、ぼくはあんまり好きじゃない。
 「フルーツだってごろごろ入ってるよ。だから、適度にすっぱいの」
 彼女はぼくの好みを思い出したように言い足した。
 こういう時間すら、久しぶりだった。
 仕事の話を延々とするぼくに、彼女がこんなおかしな話を大真面目に切り出したのだ。
 でも、もうぼくの中には、なんにも渦巻いていない。
 ぼくには分かっている。言い出す勇気がない自分が、無言で彼女に甘えていること。
 それが彼女をものすごく苦しめていること。
 彼女が、こんな話をすることで、ぼくを遠まわしに促していること。
 「ね、甘すぎる?」皿の上には、ケーキの敷かれていた銀紙がきちんとたたまれている。
 「私はいくらでも大丈夫なんだけどなあ」
 ぼくが残したコーヒー用の砂糖は、彼女のホットミルクに入れられていた。
 焼き上がったケーキの匂いが、急に夕方の店内に強く香った。
 降り出した雨のせいだろうか。
 「このケーキ、買って帰る?」
 上ずった声で聞いたぼくに、彼女は窓の外を見たまま言った。
 「ううん、大丈夫。もう、お腹いっぱいになっちゃった」
 さっきよりも強まった雨で、ガラス越しの滲んだ風景が崩れ落ちていく。




今日のお話は、何だかとっても消えていく線香花火のようで淋しいお話のように思えます。

それって、私自身が淋しいからかな?


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Posted by たえちゃん at 22:25│Comments(1)ちょっと良いお話
この記事へのコメント
はじめまして♪
私は沖縄の北部に住んでます♪
花火うちもまだまだ結構残ってるんだけど・・・
どうしよう??
線香花火は絶対買うよね!
花火が消えていくとき
さびしい気持ちになるのは
本当どうしてだろう・・・
Posted by イルカちゃん at 2006年09月17日 18:04
 
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